名探偵チキン南蛮

ドンドン、と玄関のドアをノックする音がした。
宅配便のお兄さんかと思いドアを開けると
どこかでみたことのある、おじいさんが立っていた。
「○×□※△~、○×□※△~」と、とても早口かつかなり訛りのある英語で
いきなりまくしたてられてビックリ。

「すみません、私英語が苦手なもんで・・・」といつものごとく
へらへらすると、相手もはっとしたようで
「私は向かいの部屋の住人なんだが、今帰宅したら窓が壊れていたんだけど、
何か物音を聞かなかった?」と聞かれた。

なぬ?と思い、玄関から顔を出して向かいの部屋を見ると
通路に面した側の窓が少し開いている。
壊れているかどうかはわからなかった。

たしか、この窓は朝、息子をキンダーへ送りに行くときにも開いていた。
しょっちゅう留守にしているお宅なので
その時は久しぶりに帰ってきたのかな?位にしか思わなかった。
いや、今思うと昨日から開いていたような気がする。
ずっと開いているので、おや?っと思ったのと
こんなに早くから窓を開けているなんて珍しいなと思ったので
記憶にのこったのかもしれない。

「私は何も気づかなかったです。お役に立てなくてごめんなさい。」
と言うと、ありがとう、といって隣人は帰っていった。

30分くらいした後、今度はピンポーンと鳴った。
玄関に出てみると、女性の警官が立っていた。
「英語話せますか?」
「少しだけなら。」
「向かいの部屋で盗難がありました。42インチのTVが盗まれたようです。
昨晩か一昨日の晩、何か物音を聞いたりしませんでしたか?」
「いいえ、何も気付きませんでした。」
「そうですか。泥棒は通路に面した窓から入ったようなので
お宅も戸締まりに注意してくださいね。」
そういって、警察官は次の部屋へと向かっていった。

実は私が知る限り、このアパートで盗難があったのは2回目。
2年半前、我が家が引っ越してきた当日にも盗難があって
今回と同じように、被害にあった住人と警察官とが訪ねてきた。
その時の部屋は、今回被害にあった部屋の真下。
同じように、通路側の窓を壊されて侵入されたのだった。

こんなことを書くと、私が住んでいるアパートはとても治安の悪い
管理も行き届いていない所のように思えるかもしれないが、
決してそんなことはない。
フォスターシティの中では比較的新しい、家賃も安くはないアパートだ。
駐車場も屋内にあるし、棟ごとにセキュリティゲートがあり、
一応」部外者は簡単に入れないようなしくみになっている。
2年以上も住んでいると、セキュリティのいいかげんさもわかってくるので
アテにはしていないのだが、全くない所よりは安全だと思っている。

泥棒は、逆にこんなアパートに住んで居るんだから金持ちが住んでいるに違いない、
と「勘違い」してはいってくるのかもしれない。
もちろん、これは大きな間違いであって、
本当に金持ちならアパートには住まない。

私の推理によると、犯人もしくは犯人の仲間が同じ棟の住人の中にいると思っている。
理由は、被害宅が確実に留守であることを知り得るためには
アパートの内情に詳しくないといけないからだ。
ここフォスターシティ周辺の家では、乾燥した気候のせいか、
窓を開けて換気をするという習慣があまりないらしく、
在宅していても窓があいていない家や部屋がほとんどだ。
にもかかわらず、私が向かいの家が留守であることを知っていたのには理由がある。
玄関のドアノブに、管理オフィスからのお知らせが、何日もぶらさがっていたからなのだ。
通常、帰宅時にそのお知らせははずされる。
昼間は不在の家が多いため、それがぶらさがっている部屋が多いのだが、
翌朝にはそれらはすっかり無くなっている。
今回被害宅は、2日以上はぶらさがっていたと思う。
1日位なら取り忘れ、ということもなくはない。
しかし、2日以上となるとやはり留守だと判ってしまう。
犯人はこのお知らせを目印に侵入したに違いない。
でもって、何日もぶらさがっているのを確認できているのだから
同じアパート棟の住人もしくはメンテナンススタッフ、
宅配便などの出入りの業者などが容疑者として考えられる、というのが私の推理なのだ。
メンテナンスのスタッフや業者は夜間に侵入することは難しいだろうから
一応、容疑をはずしてみた。でも、実はセキュリティチェックの抜け穴があるんだよな。
これを知っていたら誰でも入れちゃうんだけどね・・・(^_^;)

と、ここまでで名探偵チキン南蛮の推理は終了。
さて、犯人は捕まるのだろうか・・・。








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